竹内鉄平がドラフティングについて真面目に考察し、みんなで考えていこう!というコラムです。
その②は、「ドラフティング禁止ルールについて理解する」です

まずはこちらをお読みください。
その①「ドラフティングの定義とルールの変遷」
http://asutama.blog.jp/archives/1039752709.html 


ドラフティングが禁止されているレースにおいて、なぜドラフティングする人、または集団が発生するのでしょうか?まず最初に考えられることは、「ドラフティングルールを知らない」ということです。

とは言うものの、さすがにトライアスロンに出場するにあたって、「ドラフティング?なにそれ(´・ω・`)?」という人は少ないと思います(全くいないとは言いませんが...)。

ここで言っているのは、厳密にルール上、どこからどこまでがドラフティングという違反にあたるのか?を理解してない、ということです。ドラフティングルールについては、JTUが発行してるルールブック(競技規則)に書かれてています。そんなの読んだことないし、どこに書いてあるの?という方も多いはずです。

通常どの大会でも、大会プログラムや選手の案内に、「本大会はJTUの競技規則に則り...なんたらかんたら」という文言が書かれているはずです。なので大会に参加する選手は、JTUの競技規則をきちんと読んで把握しておく義務があります。知らなかった、では済まされないのです!

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以下に、JTU競技規則(2006年2月15日発行)より、重要箇所を抜粋します。

第2節 ドラフティング禁止レース
(ドラフティングの定義)
第88条 「ドラフティング」とは、他の競技者又は車両のドラフトゾーンの中に入って走行する行為をいう。
2 競技者のドラフトゾーンの範囲は、バイクの前輪の最前部を基点として、後方7m、横幅3m(前輪を中心として左右それぞれ1.5m)の内側とする。
3 車両ドラフトゾーンの範囲は、車両の最前部の中心を基点として後方35m、幅5m(左右それぞれ2.5m)の内側とする。

【解説・補足】
 まずはどこからどこまでがドラフトゾーンなのかをしっかりと理解しておきましょう。注意するのは、ドラフトゾーンが存在するのは競技者だけではないということです。車両(マーシャルの先導バイク含む)のドラフトゾーンはかなり広いので、審判・選手双方の認識不足により、過去の大会では、先頭の選手が報道車にドラフティングをしているという状況が生まれ、物議を醸しました。

(キープレフト走行)
第89条 ドラフティング禁止レースにおいては、「キープレフト」を守り競技を行うものとする。
2 キープレフトとは路肩あるいは競技コース左端から1m以内を基準として走行することである。
3 前項の規定にかかわらず、完全交通規制が敷かれ、コース幅が十分に広いときは、競技コース幅の左端より1/3を基準として走行することができる。

【解説・補足】
高速道路と同じく、走行車線は左側、抜くときは右側。これはドラフティングを回避するうえではもちろんのこと、事故を防止する上でもとても大事なルールです。左側からの追い抜きは危険行為と見なされペナルティの対象となります。

(並走の禁止)
第90条 ドラフティング禁止レースにおいては、並走したままバイク競技を行うことを禁止する。ただし、危険回避のためやむをえないときはこの限りではない。
2 前項ただし書きにより並走したときは、危険が回避されば場合、直ちに並走を解除しなければならない。

【解説・補足】
これも見落としがちなルールですね。横の間隔を3m以上以上開けていても重なりあって走行することは並走となります。並走するということは、ひいてはキープレフトが守られていないということになります。

(集団走行の回避)
第91条 ドラフティング禁止レースにおいては、ドラフティングゾーンに侵入してるかどうかに関わらず、集団走行とならないように心がけながら競技をしなければならない。

【解説・補足】
この条項をどう捉えるか?でルールの許容範囲が大きく変わってきます。ドラフティングゾーンに侵入していない=7mルールを順守してさえいればよい、というわけではないことを示しています。あとで詳しく述べます。

(ドラフトゾーンへの進入)
第92条 ドラフティング禁止レースにおいては競技者は他の競技者のドラフトゾーンに進入することを禁止する。ただし、次の各号に掲げるときに限りドラフトゾーンへ進入することができる。
(1) 第94条に規定する方法で先行する競技者を追い越すとき
(2) 危険回避のためやむをえないとき。
(3) トランジションエリアの出入り口及び合流地点の付近を通過するとき。
(4) 減速指示又は追い越し禁止の指示があるとき、及び折り返し地点。
(5) 大会スタッフから指定された区間を通過するとき。
2 前項ただし書きの規定により、他の競技者のドラフトゾーンに進入するときであっても、必要最低限の時間とする。
3 車両ドラフトゾーンへの進入は危険回避のためやむをえないときを除き禁止する。
4 競技者は、自ら他の競技者のドラフトゾーンに侵入しないように心がけながら競技をしなければならない。また、他の競技者がドラフティング走行をしているときはこれを拒否することができる。

【解説・補足】
ここも非常に大事な箇所ですね。ドラフトゾーンに入って良い場合のことを知っておくことは、逆にそれ以外は入ってはいけないということを知ることになります。基本的には追い越すとき以外は入ってはいけないよ!ということです。更に、4項で、「自ら」心がけてドラフトゾーンに侵入しないように心がけなくてはいけない、と謳っています。つまり、意志がなかったにも関わらず自然にドラフティング状態になっちゃたんだよねーという言い訳は許されないことが分かります。選手はドラフティングになりそうだったならば、自らの意志でそれを避ける義務と責任を負っているのです。また選手自らがマーシャルという意識で、他の選手を注意することも認められています。

(ブロッキング)
第93条 ドラフティング禁止レースにおいては、次に掲げる行為をブロッキングとみなし禁止する。
(1) 先行する競技者を追い越したとき、追い越した競技者のバイクの前輪の最前部から追い越された競技者のバイクの前輪の最前部までの間隔を7m以上開けないで追い越した競技者がキープレフト走行に入ること。
(2) 他の競技者の右側を、他の競技者と同一の速度を保ったまま走行を続けること。この場合において、他の競技者のドラフトゾーンに侵入しているかどうかは問わない。

【解説・補足】
これ(1)も一昔前はなかった新たに追加されたルールなので、古くからやっている人でも知らない方が多いように思えます。前走者を追い越してすぐにキープレフト走行に戻ると、接触する危険性もあるし、ドラフティングが生まれやすいためです。要は前走者を追い越したのならば、そのまま進路をキープして7m以上離れてからキープレフト走行に戻りなさいね、ということです。(2)は先に出てきた並走の禁止と同義だと思います。


ふー。少し疲れてきましたね。あと少しなので、頑張りましょう!次も大事なところです。


(追い越しと手順)
第94条 追い越しを試みているときは、15秒以内に限り、他の競技者のドラフトゾーンに侵入できる
2 「追い越しを試みている」とは、追い越す気持ちを持って前進している状態をいい、先行する競技者のドラフトゾーン内において、先行する競技者と同一の速度を保ったまま走行しているときは、追い越しを試みているとはみなさない。
3 先行する競技者は、追い越されるまでは加速をして競うことができる。

【解説・補足】
「15秒以内」です。「追い越す気持ちを持って」です。「追い越されるまでは加速をして」もOKです。つまり明確に追い越す意志を持ち、追い越しを試みているときでなければ、15秒以内であったもドラフトゾーン内に進入することはできません。抜くときは15秒以内に一気に追い抜く。15秒以内に追い抜けなかった場合は、一旦加速をやめて、ドラフトゾーンの外に出る。逆に追い越されてしまった場合は、加速をやめて、先行者のドラフトゾーンから速やかにでなくてはいけません。ここを取り違えている選手が多いため、ドラフティングが起きるのだと自分は考えます。

第94条つづき
4 追い越しを試みている競技者のバイクの最前部が、先行する競技者の前輪の最前部より前方に出たときに「追い越された」とみなす。
5 追い越した競技者は、追い越すときの速度を持続させ、追い越された競技者の前輪の最前部から7m以上引き離してから、緩やかにキープレフト走行に入るものとし、キープレフト走行に入る前に速度を緩めてはならない
6 追い越された競技者は、追い越された瞬間から加速を止め15秒以内に追い越した競技者の前輪の最前部から後方7m以上離れたドラフトゾーンから脱しなくてはいけない
7 (略)
8 (略)
9 複数の先行する競技者を追い越す場合において、それらの競技者の間に入ることによってドラフトゾーンの重なりが生じるときは、これらの選手の間に入ることなう一気に追い越さなければならない。

【解説・補足】
追い越した競技者も、追い越された競技者もドラフティングゾーンが重ならないように双方が気をつけなければいけないということが書かれています。また複数の競技者が連なって走ってる時は、間に入ること無く一気に追い抜かなければいけないという、大変厳しい条件も書かれています。これは現実的には難しいと場合もあるでしょう。

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はい、お疲れ様でした。
これで、ルールブックに書かれているドラフティング禁止ルールは大枠理解できたかと思います。まずは何においてもルールを知ることが大切です。そして、ルールを知っていてドラフティングを確信的に行う人=確信犯は論外です。ある意味、どんな手(=ルール違反)を使ってでも勝ちたい!という点では潔いですが、トライアスリートとして、という以前に人として最低です。

それでは、上記のルールの枠の中であれば、どんな手段を用いてもよいのでしょうか?トライアスロンにおけるドラフティング禁止ルールには白黒つかないグレーゾーンが存在します。どの競技においてもルールには抜け穴が存在します。つまり直接的にはペナルティの対象にはならないけれども、見る人によっては、「?」マークがつく行為です。国内海外を問わずトップ選手の中には、そういったグレーゾーンを戦略的に利用する選手がいます。勝ちにこだわる、という意味では賢い選手です。もちろん、「こっちは生活が掛かっているんだ!」「そんな甘っちょろいこと言ってられるか!」「勝つためにはそれは当然!」という意見もあると思います。しかし、その場の勝ち負けではなく広い視野でトライアスロンというスポーツの発展、周りの選手に与える影響、はたまた巡り巡って自己の成長を考えたとき、その行為がどのような周りに影響を及ぼすのか?ということをよく考えてみることは必要なことだと思います。

次回は、そのグレーゾーンに踏み込んでいきます。